シエラレオネで感じる経済学 (1)通話料売りの機会費用 シエラレオネ事務所 西野義崇

2019/02/28

日本では、携帯電話料金は銀行口座からの引き落としやコンビニでの支払いなど、後払いが一般的だと思います。しかし、シエラレオネを含むアフリカ諸国では前払い方式が一般的で、道端などで通話料(「トーク・タイム」「クレジット」などと呼ばれる)を売っている人から必要な分だけ購入します。ちょうど、日本の電子マネーと同じような仕組みで、自分の携帯電話番号を伝え、チャージしたい分のお金を払うと、その金額が携帯のSIMカードに送られてきます。

通話料を売る人々は、通常は販売した金額の5%を手数料として得ることができます。しかし、たとえ1日に1,000,000レオン(約12,720円)の売り上げがあったとしても、50,000レオン(約640円)の収入にしかなりません。いったい、彼らはどうやって生計を立てているのでしょうか? この疑問を解消すべく、道端でトーク・タイムを売っているお兄さんに潜入取材を試みました!

最近、素敵な日傘を手に入れたというお兄さん。拡声器の録音再生機能を使って呼び込みはしているものの、実態は道端で座っているだけです。

トーク・タイム売りのお兄さん


彼は実は大学生で、学費を稼ぐためにトーク・タイムを売っているのだそうです。彼によれば、トーク・タイム売りの多くは学生ではないか、とのことでした。そういえば、同じトーク・タイム売りでも、いろんなタイプの人がいます。毎日オフィスを回って営業をかける人や、ピーナツやお菓子など他の物を一緒に売っている人などは本業としてやっているのでしょうが、道端に座っているだけの人は、もしかしたら学生バイトが多いのかもしれません。

経済学では「複数の選択肢があるとき、ある選択肢を採用したことによって犠牲にされた選択肢を選んでいたならば得られたであろう価値(利益の差)」のことを「機会費用」と言います。もし、他の商売(例えば雑貨売り)に専念した方が大きな利益が得られるのなら、トーク・タイムを売るために道端に座っていることは、雑貨売りをするよりも損になります。一方、学生であれば、専業のような仕事は持っていないことが多いので、トーク・タイム売りをするために犠牲にする活動の機会費用は小さいのではないでしょうか。食べ物のように腐ることもなく、初期費用もそれほど大きくないので、きっと手軽に始められる商売だとも言えるのでしょう。

ところで、こうしたトーク・タイムを売っている人が、道端に均等に分散しているかというと、そうでもなく、大きな交差点などに集中して座っているのが実状です。これはなぜなのでしょうか?(第2話につづく)
トーク・タイム売りや物売りがたくさん集まる大きな交差点