国際協力のすき間から見えてくるミャンマーの今
ミャンマー事務所 五十嵐和代

2022/06/21

皆さん、こんにちは。ミャンマー事業統括の五十嵐和代と申します。いつもアムダマインズをご支援いただき、ありがとうございます。
 
今回の活動レポートでは、新たに開始した保健事業の準備を通じて見えてくる、政変後のミャンマーの一面をお伝えします。
 
アムダマインズは、2022年3月から、ミャンマー北東部に位置するシャン州北部で新たな保健事業を開始しました。少数民族が多く居住する同州山岳地帯のマイエー郡で、母子保健改善を目指す住民参加型の取り組みで、3月末から6月にかけてマイエー事務所の開設、新規職員の募集、事業の進み具合をはかるために必要となる基礎データの収集を事業地の村で行ってきました。
 

マイエー郡の集落の様子。対象村の人口の7割を山岳少数民族のパラウン族が占める。ミャンマー語を解さない、へき地であることなどから、同郡の他村と比べて衛生状態や母子の健康状態が悪い。

 
この事業ではマイエー事務所の所長や会計、フィールド職員など全12ポストを募集しました。へき地であるマイエー郡での仕事にどれだけの人が申し込んでくれるだろうかと心配していましたが、応募総数は152にものぼりました。キャリアップや、より好条件の職場を求めるための応募はもちろん、政変後のミャンマーの社会情勢を反映した応募動機も多数みられました。
 
政変後の治安の悪化により所属団体の事業が撤退に追い込まれて失業した人、大学最終年在籍中に政変が起こり、国軍に反発した大学教員が職場を離れ、1年以上休講が続いたため大学に見切りをつけた若者。40代半ばの三児の父親である男性は、生まれ故郷のミャンマー西部のチン州で長年国際協力の仕事に従事していましたが、国軍と武装勢力との紛争が激化したため、家族で戦火を逃れ、就活中だということを面接で話してくれました。
 
保健オフィサーに応募した医師のジュジュさんは、高得点で筆記試験に合格し、オンライン面接に進みました。面接当日、ジュジュさんは、ロヒンギャと呼ばれる人々が多数住むラカイン州奥地での巡回診療の合間を縫っての参加でした。母子保健はずっとやりたい活動でアムダマインズの新規事業に大変興味を持ったとのことですが、転職を考えたのは現在の業務が大変危険を伴うからだと聞き、採用する側としても複雑な心境になりました。
 

ジュジュさん(画面左)とのオンライン面接。アムダマインズからは3つの事務所の職員が面接官として出席。ジュジュさんはあばら家のような場所からの参加。晴れて採用が決まり、7月からマイエー事務所に勤務することになった。

基礎データの収集は、30村の全200世帯、妊産婦や乳幼児を育てる母親を含め、既婚、未婚の男女を対象として行いましたが、男性は想定した人数分のデータを集めることができませんでした。政変後、武装勢力に加わった人や、生活が苦しくなって国境を越えてタイに出稼ぎに行く人たちが増え、男性の住民が減っていることがわかりました。
 
村でのデータ収集の様子。産前・産後健診についての知識や経験、妊娠・出産にまつわる迷信、24時間以内に食べた食事内容などを尋ねるアムダマインズの職員(右)。

 
今回、新事業の準備を通じて、改めて政変後のミャンマーの混乱を垣間見た思いでした。
そんな中、力強く生きていくマイエー郡のお母さんの健康と、子どもの健やかな成長のために、様々な想い、背景、環境を背負い集まった新スタッフとともに、活動に取り組んでまいります。
 
 

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この記事を書いたのは
五十嵐 和代(いがらし かずよ)
ミャンマー事業 事業統括


もともとは日本語教育を通じた国際交流から始まり、気がつくと国際協力の道に。これまで約17年にわたり、二国間援助機関、国際NGO、日本赤十字社などで東部アフリカ、南アジアで人道・開発支援に従事。2021年2月以降、混迷を極めるミャンマーでの人道支援に関わりたいと、同年9月にアムダマインズに入職。専門は、住民参加型プログラム管理、防災、人道支援。趣味は、街歩きと写真撮影。いつでもどこでもひとりでできる水彩画を習いたいと思っている。東京都出身。

 
 

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