非日常の中の日常~あの日から1年経ったヤンゴンの街
ミャンマー事務所 五十嵐和代

2022/02/23

皆さん、こんにちは。ミャンマー事業統括として、昨年10月末に当地へ赴任した五十嵐和代と申します。いつもアムダマインズをご支援いただき、ありがとうございます。
 

季節の野菜や果物などが売られる朝市と托鉢をする僧侶。非日常の中での日常を感じる光景のひとつ

 
世界中に衝撃を与えたミャンマーの政変から2022年2月1日で1年が経ちました。昨年2月1日に発令された非常事態宣言は、現在も続いており、日本でも時々ニュースなどで報道されている通りで、なかなか先行きが見えない「非日常」が続いています。
 
国連開発計画(UNDP)が昨年5月に発表した報告書によれば、「クーデターや新型コロナウイルスの影響などから、2022年12月末までにミャンマー全人口の半分にあたる2,500万人が貧困に陥る可能性がある」とのことです*。
 

私は、着任後、ミャンマー最大の都市ヤンゴンにある事務所で引き継ぎ業務に追われる日々が続いており、その上、新型コロナウイルスのまん延、政情不安などによる移動制限もあることから、活動地の視察や国内移動がまったくできないままでいます。
 
政変以前のミャンマーの様子を知らないこともあり、この国の窮状を肌感覚ですぐにとらえるのは正直難しいなと感じながら、あっという間に4か月が過ぎようとしています。
 
とは言え、休日にヤンゴンの街を歩いてみると(もちろん、安全に配慮して!)、市民の暮らしを垣間見ることができます。ミャンマーでもっとも有名な寺院であるシュエダゴン・パゴダから四方に伸びる道はきれいに舗装され、早朝から清掃員がせっせと落ち葉をはいています。
日が落ち始めた頃のシュエダゴン・パゴダも美しい

 
緑の街路樹がきらきらと輝く、一年で一番気持ちのいいこの季節には、犬を連れて散歩をする人やジョギングをする人なども見かけます。パゴダの入り口前で露店の主人と世間話をしながら朝ご飯を食べる親子。参拝客相手に早朝に切り取ったらしいみずみずしい花を売る女性。
 

母親の顔に塗られているのは、タナカという木を原料として作られた化粧クリーム。日焼け止めとしてもよく使われています

 
下町では、朝市がたち、地元の買い物客でにぎわい、昼下がりには、男性たちが、道端にボードを持ち出して神妙な面持ちでチェスに興じています。
 
ロンジー姿の男性がいかにもミャンマーらしい

 
国軍と市民組織や様々な武装勢力との各地での衝突や、罪のない人々が犠牲になる悲しいニュースが毎日にように報道される一方で、本当に非常事態宣言下なのか、と思ってしまうほど、ヤンゴンの街は実に美しく、人々はたくましく暮らしています。
 
「あなたが見ているのは、表面的なことに過ぎないですよ」 
 
ミャンマー人や、ミャンマー通の外国人にはそう言われてしまうかもしれません。きっと、その通りでしょう。それでも、私は、思うのです。この国の人々は、非日常の中の日常を、とてつもない生きる力で、それぞれの処し方で、忍耐強く生き抜いているのだと。
 
AMDAグループは創立以来、ミャンマーで25年以上活動を続けてきましたが、その歴史の中においても今は極めて支援活動が難しい時期にあります。そんな中であっても、ミャンマーでもっとも脆弱な人々を支えるべく、これからもミャンマーの現地職員とともに、尽力したいと思います。引き続きのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
 
*UNDP (2021): COVID-19, Coup d’Etat and Poverty: Compounding Negative Shocks and Their Impact on Human Development in Myanmar
 

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この記事を書いたのは
五十嵐 和代(いがらし かずよ)
ミャンマー事務所 事業統括


もともとは日本語教育を通じた国際交流から始まり、気がつくと国際協力の道に。これまで約17年にわたり、二国間援助機関、国際NGO、日本赤十字社などで東部アフリカ、南アジアで人道・開発支援に従事。2021年2月以降、混迷を極めるミャンマーでの人道支援に関わりたいと、同年9月にアムダマインズに入職。専門は、住民参加型プログラム管理、防災、人道支援。趣味は、街歩きと写真撮影。いつでもどこでもひとりでできる水彩画を習いたいと思っている。東京都出身。