ヘルスポスト(診療所)のビフォーアフター ネパール事務所 プラディップ・ラジュ・パンタ

2020/12/02

ナマステ(こんにちは)。AMDA-MINDSネパール事務所プロジェクトオフィサーのプラディップ・ラジュ・パンタです。日本の皆さん、こんにちは。新型コロナウイルス感染症が終息する兆しはまだ見えませんが、そんな中で進めている私たちの活動の様子を、今回は私からご紹介したいと思います 。
 

研修で講師を務めるプラディップ

 
ネパールでは一時期、1日の新規感染者数が4千人を超えることもありましたが、最近は1千人台まで減少しています。「母子の健康格差是正事業」を実施しているダン郡ガダワ地区でもここ最近、感染状況の推移は一旦、落ち着きを見せています。とはいえ、マスクに手洗い、ソーシャルディスタンス等の感染防止策を怠ることがないよう注意しつつ、日々の活動を進めています。
 
ダン郡ガダワ地区には4つのヘルスポスト(診療所)がありますが、どのヘルスポストにも十分な医療資機材がなかったため、処置や治療ができない患者が毎日、何人も、車で30分~3時間離れた近隣地域の医療機関へ搬送されていました。適切な処置や治療を、適切なタイミングでできないことで、患者が命の危険にさらされることも少なくありませんでした。日本の方は驚かれるかもしれませんが、体重計や聴診器、診察台などの基本的な医療資機材でさえ新しいものを調達する予算がなく、老朽化したまま、もしくは破損した状態で診察が行われていたのです。
 
事業開始前、ヘルスポストに置かれていた医療資機材

 
そこでAMDA-MINDSは昨年、老朽化していて買い替えなければならなかったり、必要な数が備えられていなかった31種類の医療資機材(計114品)を、4つのヘルスポストに供与しました。
 
ガダワ地区の中心地、商店が並ぶメインストリートに位置するガダワ・ヘルスポストは、地区内にある4つのヘルスポストの中で一番患者数が多く、年間の外来患者数は、管轄区の人口約1.3万人を大きく超える約2万人に上ります。これは、同ヘルスポストが地区内で唯一、交通事故等による外傷患者や、慢性閉塞性肺疾患等により呼吸不全に陥った救急患者を受け入れているためです。それにも関わらず、配備されていた医療資機材は種類も数もまったく足りていませんでした。例えば酸素投与を必要とする患者を何人も、地区外の高次病院に搬送しなくてはなりませんでした。そこでガダワ・ヘルスポストには、酸素ボンベや酸素濃縮器など20種33品目の医療資機材を供与しました。
 
ガダワ地区内のヘルスポスト(2019年撮影)

 
同ヘルスポストのルプナラヤン・チョウダリ所長は先日、笑顔でこう話してくれました。「今年の前半だけで25人が酸素投与を必要としましたが、全員、ここで対応することができ、他の医療機関へ搬送せずに済みましたよ。供与された酸素濃縮器のおかげで、重症化リスクが減り、患者から感謝の言葉をかけてもらうことが多くなりました。ヘルスポストのサービスに対する利用者の満足度は確実に上がったと思います」。医療資機材の不足で、十分な処置や治療ができず心苦しい思いをしてきたヘルスポストのスタッフが、新しい医療資機材を使って熱心に患者対応をしている様子からは、患者だけでなく、ヘルスポストのスタッフたちの意欲向上にもつながったことが感じ取れました。
 
ヘルスポストで会った、喘息を患うケサラ・タパさん(72歳)は「前はラマイ(ガダワ・ヘルスポストからオート三輪車で約30分)の病院まで行かなきゃいけなかったけど、今はガダワ・ヘルスポストで治療してもらえるようになったから、便利だし、身体も心も楽になったわ。交通費も節約できるしね」と、嬉しそうに話してくれました。
 
診察を受けるケサラ・タパさん

 
モノの支援は、供与したら終わりというわけではありません。ヘルスポストに医療資機材を供与した後も、ヘルスポスト運営管理委員会※だけで維持管理を続けていけるよう、委員会メンバーと一緒に使用状況を定期的に確認し、必要に応じて使用やメンテナンスに関する技術指導を行っています。
 
1つひとつの医療資機材が長く丁寧に使い続けられることで、一人でも多くの患者の治療や処置につながることを目指して、これからも必要とされる活動を続けていきます。
 
※ヘルスポストの運営管理を担う住民組織
 
 


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