NGOの本部スタッフがどんな仕事をしているのかよくわからない件
海外事業運営本部 竹久佳恵

2021/11/26

「本部事務所でどんなお仕事をされているんですか?」という質問に対する分かりやすい答えを見つけられないまま19年が過ぎました。
 
具体的にお答えすると長くなるし、びしっと分かりやすく一言でまとめるのも案外難しく、「こまごまあれこれやることがありまして…」とお茶を濁すこともしばしば。困ったことにこの質問、2番目によく聞かれる質問です(ちなみに一番多い質問は、NGOで働くことになったきっかけとキャリア形成について、です)。
 
海外に駐在していた時は、「ベトナム北部山岳地帯の少数民族を対象とした母子保健プロジェクトを担当しています」などと、びしっと分かりやすく一言でお答えできていたのに、どうして本部事務所での仕事はうまく表現できないのか。
 

ベトナムの北部山岳地帯で、日本(左)とベトナム(中央)の専門家と一緒に母子保健プロジェクトを実施しました、という説明はきっとわかりやすい(2002年)

 
本部事務所の仕事、といってもアムダマインズの本部事務所には、海外事業運営本部、財務部、総務部とあって、どの部署で働くかによって仕事の内容は異なるのですが、私が配属されている海外事業運営本部の仕事は、こまごまあれこれ多岐にわたります。
担当国のプロジェクトに関する業務が多くを占めるのはもちろんですが、支援者や企業・団体の方からのお問い合わせの対応や、アムダマインズの活動を多くの方に知っていただくための広報業務もあります。民間の非営利団体ですから、活動に必要な資金を個人や民間、政府から集めるファンドレイジングも重要な業務の1つです。まさに「こまごまとやることがありまして…」が一番現実に即したお答えなのです。
 
本部事務所のよくある光景。この日は、コンサルタントと募金キャンペーンの戦略を練りました。

 
意外に思われるかもしれませんが、海外の事務所で働いても、こまごまあれこれ業務がたくさんあるので、本部事務所だろうと現地事務所だろうと、NGOで働くスタッフが何をしているのか、ぴしっと分かりやすく一言でお伝えするのは難しいものなのかもしれません。ちまたにあふれるザ・NGOなイメージは、例えば「現地の人に技術指導している様子」とか「はちきれんばかりの笑顔の子どもたちと触れ合う様子」かもしれませんが、それはほんの一握りの時間で、9割方はこまごまあれこれな業務で占められているのが現実だったりします。
 
NGOの本部事務所で働く我が子が日々、何の仕事をしているのかよくわかっていない老齢の両親には、「たとえば家事といっても、ごみ袋をゴミ箱にセットするとか、おわったシャンプーのポンプに詰め替え用の中身を補充するとか、『名もなき家事』って呼ばれるものが色々とあるけどあれと一緒で、『名もなきNGOの仕事』も色々とあるんよ」と、やはり分かりやすいような分かりにくいような説明をして、その場を濁しています。
 
おそらくどんな仕事も、「名もなき家事」のような、こまごまあれこれとした業務で成り立っているのでしょう。NGOもまたしかりということで、ぴしっと分かりやすい答えを見つけられないまま、私の20年目が始まろうとしています。
 
 

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この記事を書いたのは
竹久佳恵(たけひさよしえ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


沢木耕太郎や小田実の本に影響を受け、民間企業を退職してバックパッカーの旅へ。その際訪れたネパールの片田舎で老婆を助けたことをきっかけに、国際協力に関心を持つ。帰国後、アムダグループの「援助を受ける側にもプライドがある」という言葉に共感し、2002年にアムダ海外事業本部(AMDA-MINDSの前身)入職。働きながら開発学修士を取得。ベトナム、カンボジア、ミャンマーに駐在後、2010年から現職。趣味はお出かけ。岡山のお気に入りスポットは、四季折々の後楽園。岡山県出身。