ミャンマーで考えた手洗いと歯にまつわる話 ミャンマー事務所 渡辺陽子

2020/04/28

みなさんが毎日欠かさずに行っている習慣は何ですか?
 
私の場合、手洗いと歯磨きの2つです。手洗いは、新型コロナウイルスを含む感染症の予防のためです。私が住んでいるヤンゴンでも3月から、バス停の近く等、道のあちこちに簡易の手洗い場が設置されました。新型コロナウイルス予防のために最も大切な事の一つと言える「手洗い」に、ミャンマーの人びとも気をつけています。4月中旬はミャンマーのお正月ともいえる「水祭り」で、毎年にぎわう時期ですが、今年は街中の人通りも少なく、とても静かなお正月となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、人が多く集まる集会、祭り等を禁止する通達がミャンマー政府より出されたためです。

路上に設置された手洗い場で手を洗う筆者

 
もうひとつの習慣である歯磨きは、趣味とも言えるものです。元々歯磨きは苦手だったのですが、歯医者に通院中、歯科衛生士さんから少しマニアック(?)な歯磨き指導を受けたことをきっかけに、好きになりました。歯科衛生士さんからは、歯には色々な面がある事(平らな面、カーブしている面、歯の隙間等)、それぞれの面を磨けるよう歯ブラシを使い分け、一本一本丁寧に磨く方法を教えてもらいました。実践してみると、汚れが落ちてツルツルした歯の気持ちよさをすぐに実感できるようになり、今では歯の形に合わせて磨けるよう、違ったフォルムの歯ブラシを使い分けるようになりました。
一回の歯磨きで使用する歯ブラシ達(左から順番に使っていきます)

 
さて、ミャンマーでの歯の事情はどうなのでしょうか。パウッ事務所に勤務する会計士マテテの息子、トウターリンテ(5歳)君が歯医者に行った時のことを少し質問してみました。
 
私「息子さんが、歯医者に行った時のことを教えてもらいたいのだけど。」
マテテ「食事中、息子が『歯が痛い』と言い出したから歯医者に連れていったの。診てもらったら、乳歯に虫歯があると言われたわ。」
私「どこの歯医者に連れていったの?」
マテテ「隣町のパコクにある私立の歯科医院に(筆者注:人口約20万人のパウッには公立病院で働く歯科医が1人いるものの、検査や治療の設備が十分には整っていません)。」
 
ところで、歯医者に行くと言われれば、子どもの多くは嫌がるところですが、息子さんはどうだったのでしょうか。
私「息子さんは歯医者で怖がらなかった?」
マテテ「息子には前もって『歯は抜かないから大丈夫』と伝えておいたの。歯医者では虫歯の部分を削り、薬を詰めてもらったのだけど、泣かずに頑張ってた!」
子どもには大きすぎるベッドの上ですが、治療前はまだ余裕の表情です

 
やはり治療中は痛そうですね。泣かずに頑張ったのはエライ!

 
さて、ここで気になるのが、歯磨き指導についてです。歯の治療だけではなく、予防のためにどのような説明がされたのでしょうか。
 
マテテ「治療の後は、歯磨きについても教えてくれたわ。毎日朝・晩の2回、食事の後に磨く事、そして最低3分は磨く事、食べた後は口をゆすぐように、とも。」
 
今回歯医者に行った息子さんの歯磨きは、以前は朝起きて一回だけだったそうです。虫歯の痛みを知った今は、「もう痛いのはこりごり!」と、歯医者さんの教えの通り一日2回の歯磨きを続けているとのこと。
 
歯磨きや手洗いは、続けることが大切ですが、状況や場合によっては難しい事もあるでしょう。ですが、道路沿いに設置された簡易手洗い場のように、アイディア次第で改善できる事もあると思います。私も歯磨きをはじめ、できる事を工夫して続けていきます!
 
 

渡辺陽子(わたなべようこ)
ミャンマー事業 業務調整員

大学生の時に訪れたフィリピンで目の当たりにした「格差」に衝撃を受けるのと同時に、都市部のスラムや農村でその格差是正に取り組む人々に感銘をうけ、国際協力の道を志す。大学卒業後、病院事務職を経て、公衆衛生学修士を取得。NGO職員としてフィリピンにも駐在後、2017年にAMDA-MINDS入職。趣味は歯磨きとヤンゴンの動物園散策。ヤンゴンにある動物園は緑に囲まれた敷地にあり、子ども連れの家族を見ているだけで癒し。岡山のお気に入りスポットは、後楽園の井田(田んぼ)と、路面電車から見える景色。埼玉県出身。

 

 
 


寄付する