怪しい存在と思われがちなNGO業界の私たちが、つい忖度してしまうアレについての一考察

2021/08/17

海外事業運営本部長の白幡利雄です。「未来をつくる夏募金2021」キャンペーン特別連載ブログとして、4回シリーズでお届けする私のひとりごと。2回目のテーマは、「NGOは怪しい存在なのか」です。(1回目のブログ「30年前にNGOで食っていけるの?と言われた私がいま振り返る「就職先としてのNGO」」はこちらから)
 


 
ちまたでGoogle(グーグル)先生とも呼ばれている大手検索サイトがありますが、そこで「NGO」や「寄付」と入力すると、「怪しい」といったネガティブな言葉が続けて表示されることがあります。皆さんも、こんな経験ありませんか? もちろんポジティブなものもありますが、場合によっては「胡散臭い」「偽善」「迷惑」などと表示され、ついつい気落ちしてしまうことも。
 
アムダマインズには「怪しくない」スタッフが約100名います

 
NGOがその活動を進める上で必要となる資金源は、大きく3つに分けられます。政府や企業、助成団体などからの補助金・助成金が一つ。何かを作ったり仕入れたりして販売をする、あるいは専門的な知識やサービス、技術への対価を得る、といった事業収入。そして、広く一般の方々から団体の理念や活動への賛同を得て集める、会費や寄付金です。
 
どれもNGOにとって大切なものですし、活動を継続するためのリスクを分散するという意味でも、この3つの収入源をバランスよく保つことが団体運営には欠かせません。中でも、会費や寄付を集めるということについては、組織が一丸となって取り組むケースが多いのではないかと思います。最近は職種を細かく分け、専門性やキャリアに応じた人材募集と採用を行う団体がほとんどですが、それでもNGOスタッフになれば、担当する業務に加え、友人・知人から会費や寄付を集めることを経営層から依頼されたりするケースが、日本では少なくありません。どうしてなのでしょうか?
 
〇〇〇〇などの国連機関や(バレバレ?)、全国各地に大きな病院をもち〇〇〇と聞けば誰でも知っている某団体(もっとバレバレ!?)など、すでにある種のブランドとして名声が確立している場合は別として、普通は知らない団体から「会員になってください」「寄付をください」と言われても、財布の口は開けないですよね。でも、知っている人から「私が勤めている〇〇の会員になって」「私が取り組んでいる〇〇の活動に寄付を!」などとお願いされれば、事情は違ってきます。これが、NGOスタッフになったら友人・知人への勧誘が実質的な業務として位置づけられることがある一番の理由だと思います。
 
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でも大抵の場合、親兄弟までは誘えても、友人・知人にまで声をかけるのはためらうという人が多いようです。スタッフにとってもNGOは怪しい存在だから、というわけではなく(笑)、ここには前回の「ひとりごと」で謎としていた、今でもNGOでは食えないと一般に思われていることと同様の理由が、潜んでいるのではないかと思います。それは、会費や寄付金の一部が自分の給料にもなっているということに対して、お金を出す側の人々があまりこころよく思わないだろうと、つい考えてしまう忖度(そんたく)、です。
 
そして残念ながら、この忖度はあたっている面もあると言わざるを得ません。いまだに「えぇっ! NGOスタッフって給料がもらえるんだ!」という反応をされることが少なくないからです。こうしたことへの配慮もあり、仮に収入源に恵まれていたとしても、給与水準が一般に全般的に低く抑えられているのが日本のNGOの現実です。では、この忖度地獄を抜け出すために必要なことは何なのでしょうか。私の「ひとりごと」は続く…。
 

白幡利雄(しらはたとしお)
海外事業運営本部長

 
学生時代に手話を学んだこと、NGOの存在を知ったことをきっかけに、世界をより良く変えることを一生の仕事にしたいと決意。教育学修士号取得後、日本の国際協力NGOに就職。約21年間、東京事務所で海外事業全体のコーディネーションを担当した他、バングラデシュとネパールに事務所長として駐在。2014年にAMDA-MINDS入職。2020年から現職。趣味は読書と映画鑑賞。岡山のお気に入りスポットは西川緑道公園。東京都出身。

 
 

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