マダガスカル事業

マダガスカル共和国はアフリカの南東部に位置する島国で、独特の自然環境の中、アフリカとアジアが融合した文化が形成されています。一次産品に依存した脆弱な経済構造と2009 年から5 年間続いた政治的混乱の影響を受け、現在も国民の78%が貧困ライン以下(1 日1.9 ドル未満)の生活を余儀なくされています。近年、40 年に一度という深刻な干ばつが続いており、不作による食料難や収入の低下が、子どもをはじめとする住民の栄養や健康状態を悪化させています。

 

面積:58.7万km2 (日本の約1.6倍)
人口:2,769万人 (2020年/世界銀行)
公用語:マダガスカル語/フランス語
1人あたりのGNI:470ドル (2020年/世界銀行)
5歳未満児死亡率:50人 (1,000人あたり、2020年/UNIGME)
妊産婦死亡率:335人 (10万人あたり、2020年/WHO)

アチモンジャン郡における環境保全を通じた持続可能な生計向上プロジェクト(2021年4月-現在)
アンチモンジャン郡のツィアファヒ・コミューン(行政単位)において、農業分野を専門とする現地NGO「CEMES(セメス)」と連携して、植林や環境負荷の低い農業を推進するプロジェクトを実施しています。これまで、住民に対する技術研修(苗木の育成、植栽、生育管理)や、子どもからシニア世代まで地域住民約700人による植林(アカシア、ユーカリ、パパイヤ、モリンガなど11,760本)を行いました。この他、土壌調査結果を踏まえ、換金作物(イチゴ、ニンジン、トマト、キャッサバなど)の栽培指導も行っています。
なお、本事業は、トヨタ環境活動助成プログラムをはじめ皆様からの支援により実施しています。
植林に参加する女の子

最新の活動レポートはこちら:
2022年11月:マダガスカルに豊かな大地を!
2021年11月:焦らず、一歩ずつ、一本ずつ
2021年7月:森が失われつつあるマダガスカルで環境保全プロジェクトを開始

アチモンジャン郡における5歳未満児の栄養改善支援事業(2022年3月-現在)
マダガスカルの中でも発育阻害の状況が深刻な中央高地に位置するアチモンジャン郡において、5歳未満児の栄養改善を目指した事業を3年計画で実施しています。具体的には、地域の栄養や保健に関わる行政機関等と連携し、栄養改善のための地域の人材を多数育成し、その人材から地域住民へ栄養改善のための行動の知識と技術を伝えるとともに、その行動を後押しするためのトイレ設置や家庭菜園の支援などの活動を実施します。
なお、本事業は、日本国外務省からの資金協力(日本NGO連携無償資金協力」に加え、皆様からのご寄付により活動をすすめています。
対象地域にある保健センター

 
最新の活動レポートはこちら:
2022年4月:少しの工夫で変わる意識~マダガスカルで子どもの栄養改善に向けた取り組みを90村に拡大

ベルーア郡における干ばつによる飢餓に苦しむ住民への医療支援事業(2022年1月-12月)
マダガスカル南部地域は、近年40年に一度というレベルの干ばつに見舞われており、国連世界食糧計画(WFP)や国連食糧農業機関(FAO)によると、同地域の人口の49%にあたる131万人が危機的な食料不足に陥っているという状況にあります。本事業対象地のベルーア郡でも、5歳未満の子ども1割が急性栄養不良であり、妊産婦の多くが十分な検診を受けられていません。
そこで本事業では、保健医療分野を専門とする現地NGO「ASOS(アソス)」と連携し、一次医療施設へのアクセスの悪い42村にて、巡回診療や予防接種などの医療支援活動を実施しました。
なお、本事業は、立正佼成会一食平和基金をはじめ皆様からの支援により実施しました。
巡回診療での予防接種
受益者の声(ツィアファヒ・コミューンの農家 リチャード・スアマナンジャイさん)
私たちの村には「FILAMATRA(フィラマチャ)プロジェクト*」があります。プロジェクトから学んだ技術は初めて目にするものばかりでした。
例えば、有機肥料や堆肥、土壌の質を向上させる植物を使用することなどです。化学肥料は価格が高いだけでなく、時に農地を傷つけ、環境にも悪影響を与えるということも、初めて知りました。
私たちはこのプロジェクトが好きで、活動を続けています。植林から始まり、その後、様々なトレーニングが行われました。現在は農業収入の向上に取り組んでいます。私たちの願いは、このプロジェクトが継続され、拡大していくことです。今後、家畜の分野にも活動が広がっていくことを願っています。
*現地でのプロジェクトの愛称。(他に普及できるような)モデル、という意味。
リチャードさん
パートナーの声(ASOS代表 ジャンクロード・ラコトマララ医師)
2022年3月から、ベルーア郡の42村を対象に巡回診療を行っています。診察だけでなく、5歳未満の子どもの予防接種や妊婦健診、家族計画などの保健医療サービスの提供に努めており、この活動は非常に有益だと、郡保健局にも評価してもらっています。
アンキリブハンギ村で、10か月の子どもに予防接種をしてもらった母親が、こんな話をしてくれました。「うちは保健センターから遠く、これまでは保健医療サービスを受けるのが難しかったのですが、巡回診療のおかげで子どもの健康に関する不安から解放されました」。また、巡回診療時には保健教育もあわせて実施しているので、参加者は、それぞれの家族をよりよくケアするために必要な知識を身に着けることもできています。
これからも地域の人たちのニーズにこたえられるよう、活動を続けていきます。
ジャンクロード・ラコトマララ医師
マガダスカルスタッフブログ

マダガスカルで遭遇した「ニワトリが先か、卵が先か」問題」 2022年3月 江橋裕人
マダガスカル人は運動好き?!」 2020年8月 江橋裕人

完了したプロジェクト

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