妊産婦ケア強化の取り組みを新たな地域に拡大します(ホンジュラス)

2022/03/01

アムダマインズはこれまで、ホンジュラス国内でもとりわけ社会経済的に脆弱とされる地域で、妊産婦が抱える様々な困難を解決するための活動に取り組んできましたが、2022年3月から新たに2つの地域(サン・ルカス市、サン・アントニオ・デ・フローレス市)に、その取り組みを拡大することになりました。
 

約6千人が暮らすサン・アントニオ・デ・フローレス市。日本の「市」のイメージとは異なり、市内には未舗装の道路が広がる。

 
エル・パライソ県南西部の山間地域に位置するサン・ルカス市およびサン・アントニオ・デ・フローレス市は、通信手段が限られ、水へのアクセスも悪いなど、社会・生活インフラが整っておらず、生活環境の厳しい地域です。そのため、ホンジュラス内務省が定める社会経済発展度の最低ランク(Dカテゴリー:脆弱な市)に分類されています。
 
両市では、年間約360人の女性が新たに妊婦となりますが、分娩可能な母子保健センターが存在せず、約半数の妊婦は専門技術者の介助なく自宅で出産しています。
 
そのため、危険な状態に陥ったときの対処ができず、また搬送システムも整っていないことから、母子ともに命を落としてしまうケースが少なからず発生しています。
 
サン・ルカス保健所外観。保健所は、地域内に6か所あるが分娩には対応できない。

 
母子の命が守られるようになるためには、妊婦健診の受診はもちろん、妊婦自身と家族が周産期のリスクを理解し、緊急時にも対応できる施設分娩の重要性を認識する必要があります。
 
しかしながら、地域内の6か所の保健所では資機材、人材ともに不足し、妊婦健診で必要な検査が実施できておらず、リスクの早期発見が困難なばかりか、地域住民に対する十分な啓発も行えていない状況です。
 
サン・アントニオ・デ・フローレス保健所内の薬局。本来、検査キットや医薬品が並ぶべき薬品棚(左奥)は空の状態。

 
そこで、妊婦が保健所の指導により周産期を安全に過ごし、緊急時に対応できる医療施設での出産を選択することを目指した活動を開始しました。
 
具体的には、今後2年間で、保健所における妊婦健診の拡充と救急搬送システムの構築、保健所スタッフの知識と技術の向上、妊婦に近い存在である保健ボランティア及び伝統的産婆への研修と保健所との連携強化、妊産婦を含む住民の周産期と安全な出産に関する理解の促進に取り組みます。
 
これら一連の活動は、日本国外務省からの資金協力(日本NGO連携無償資金協力)に加え、アムダマインズを応援してくださっている皆様からのご寄付により進める予定です。2月25日には、在ホンジュラス日本国大使館にて本活動への資金協力の署名式が執り行われました。
 
左からホセ・サンチェス氏(サン・ルカス市長)、山田留美子(アムダマインズホンジュラス事業統括)中原淳特命全権大使(在ホンジュラス日本国大使館)、スアニ・モンタルバン医師(保健省プロジェクト次官)

 
署名式には、ホンジュラス保健省プロジェクト次官のDr. Suany Montalván(スアニ・モンタルバン医師)や、サン・ルカス市長のJosé Sánchez(ホセ・サンチェス)氏も出席してくださり、日本の皆様からの支援に対する感謝の意と、妊産婦ケア向上を期待する旨のお言葉をいただきました。
 
また中原淳特命全権大使からは、「日本政府のホンジュラスへの援助方針において、保健は大変重要な分野であり、本事業が対象地での保健システムの強化や人びとの健康向上に貢献すること、また事業を通じて日本とホンジュラスの友好関係が強化されることを祈願している」との激励のお言葉をいただきました。
 
母子の命が、いまもこれからもずっと守られ続ける地域づくりをめざし、地元の人々や保健医療関係者と協力して活動に取り組んでまいります。引き続き応援をお願いいたします。
 

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