新たなチャレンジがもうすぐ始まります! ミャンマー事務所 江橋裕人

2019/12/13

新しく計画した「遠隔コミュニティにおける母子保健対応能力強化支援事業」が2018年度のJICA草の根技術協力事業パートナー型として採択されました。来年からの開始に向け、一歩ずつ準備を進めています。
 

事前調査を実施したチン州の村で、お母さんたちと(筆者右から2人目)

 
AMDA-MINDSはこれまで、ミャンマー中央部に位置する乾燥地帯及び同東部で中国と国境を接するシャン州を中心に事業を実施してきたので、インドやバングラデシュと国境を接するチン州で本格的な事業を実施するのは初めてになります。
 
チン州は2,000メートルを越える山に囲まれた山岳地域で、人口密度は1平方キロメートルあたり13人(国全体では76人)。シャン州の事業地もかなりの遠隔地域でしたが、今回はそれに匹敵する、もしくは上回るレベルかもしれません。四輪駆動車が使えず、小型バイクでしか行けない村や、徒歩以外に選択肢がない村もあります。雨季にはがけ崩れも多発します。物理的にアクセスが難しいことに加え、少数民族が多数を占める地域であり、行政のサービスが行き届きにくい状況にあります。こうした地域特性ゆえ、行政の協力や費用対効果が十分に望めず、国際機関やNGOが過去に実施した開発事業は決して多くないのが実情です。
 
事業対象地で最大の村を望んで

 
今回取り組みを始める事業は、このようにアクセスが困難な遠隔地において、健康知識に関するトレーニングの提供、村に眠っている資源(ヘルスボランティアや活用されない健康基金、遠隔地の生活における様々な経験など)の掘り起こし、医療資機材の提供や村人との協力体制構築と言った保健行政への支援を通じ、村人の母子保健対応能力を高めていくものです。地域開発は一筋縄ではいきません。村の状況を十分に把握した上で活動を進めていかなければ、期待した成果は得られません。事実に基づく気づきを促し、成果が発現、継続するよう取り組んでいきたいと思います。
 
特にミャンマーでは、現地スタッフのファシリテーション技術に関して、約4年前から外部専門家を継続的に招いて能力の向上を試みてきました。本事業で新たに雇用するスタッフにも、内部研修や他事業の視察などを通じて継承していきます。
 
事前調査にて。バイクの後ろに乗って帰ります

 
活動経験が乏しい事業地ゆえ少々の不安はありますが、母子保健、水と衛生、地域保健、栄養など様々な分野で村人と協働してきた経験の蓄積を上手に活用したく思います。
 
 

江橋裕人(えばしひろと)
ミャンマー事業 事業統括

 
エチオピア飢饉やソマリア内戦のニュースを見たことがきっかけでアフリカへの興味を持つ。大学卒業後、民間企業に勤めたのち、イギリスの大学院でアフリカ地域研究(政治学)と国際関係論の修士号を取得。NGO職員としてアフリカのザンビアに3年半駐在後、2010年にAMDA-MINDS入職。今の趣味はジョギング。日本にいた頃はオートバイ(愛車はBMW R1200GS)でのツーリング。岡山のお気に入りスポットは、旭川・百間川沿いのジョギングコース。茨城県出身。

 
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