ラマダンがやって来た! インドネシア事務所 梶田未央

2014/07/29
日本のみなさん、アッサラーム・アレイクム(全世界のイスラム教徒共通のあいさつ、アラビア語で「あなたの上に平安がもたらされますように」)。今年もラマダンがやってきました。ラマダンとはイスラム社会で使われるヒジュラ歴の第9月のことです。ラマダンの1ヶ月間、イスラム教徒は夜明けから日没まで食べ物はもちろん水やタバコなどいっさいのものを口にしない「断食」をおこないます。ちなみに、ヒジュラ歴は西暦よりも11日短いために毎年ラマダンの時期も11日ずつ早くなっていきます。2億3千人を超す国民の90%近くがイスラム教徒という、世界最大のイスラム人口を有するインドネシアでも今年は6月29日からラマダンが始まりました。

この期間は私の住んでいるマカッサル市も日中は普段の喧騒がウソのようにひっそりしています。日中は断食、夜は礼拝所に集まって夜通しお祈りをしたりすることもあるので、皆なるべく体力を温存しているのでしょうか。しかし、ひっそりとした街も日没が近づくにつれて徐々に騒がしくなっていきます。夕方になると断食明けを祝うための料理をする匂いが漂いはじめ、お菓子を売る出店も軒を連ねます。ラマダンにしかお目にかからない特別なお菓子もあったりして、私もお気に入りを見つけようと毎日いろんなお菓子を試しています。

午後5時半頃には街の活気はすっかり元通り、道路にはバイクや車が溢れます。みんな6時過ぎの日没を目指して一斉に帰宅ラッシュが始まるのです。日没の断食明けは自宅で家族そろってお祝いし、一緒に食事をするのが習わしだからです。

イスラム教徒に聞くと、誰もが「断食は、最初の3日間、体が慣れるまでは辛いけれども、そのあとは神様を近くに感じて穏やかに過ごせる。世界中の同胞に思いをはせる大事な期間。」と言います。ラマダンは、世界中の同胞がともに同じ試練を乗り越えることで、イスラム教徒が最も結束を高める時期でもあるのです。

イスラム教徒にとっての神聖な1ヶ月もあと残すところ1週間となりました。私がお昼ご飯の獲得に苦労するのもあと1週間です。

世界中のイスラム教徒が心穏やかにラマダンを過ごせますように、そして皆さんの上にも平安がもたらされますように。

買い物客でにぎわう日没後
買い物客でにぎわう日没後
仕事帰りに惣菜を買って帰るお母さんたち
この期間限定で断食明けのお菓子や料理を売る出店が立ち並びます
この期間限定で断食明けのお菓子や料理を売る出店が立ち並びます

レストランのレジもラマダン仕様に
レストランのレジもラマダン仕様に