理事長ブログ「うみがめ便り~G20岡山保健大臣会合開催によせて:感染性疾患と非感染性疾患」

2019/10/16

感染性疾患と非感染性疾患(NCDs:Non-Communicable Diseases)との間には大きな違いがあり、簡単に言ってしまうと病因が他者から伝えられるもの(外因性)であるか、あるいは自身に内在するもの(内因性)であるかという点である。従って、他から自身の体内に入ってくるウィルスやバクテリアに対しては、個々人が持つ免疫力が最大の防御である。一方、生活習慣病に代表されるNCDsに対しては日々の摂生、養生ということになる。
 

ミャンマーで実施しているNCDs対策プロジェクトの一場面(地域住民に対する啓発活動)

 
しかしここに大きなパラドックス(矛盾)がある。ある人が(感染性疾患が蔓延する地域に生まれ育った、あるいは移住したことにより)無意識に、あるいは意識的に免疫力を高めようと、栄養を沢山摂取しようとすると、やがてそれが習慣になり、また栄養過多につながり、生活習慣病の原因となる場合がある。あるいは、生活環境、職場環境が変化したことで、継続的にストレスを感じている人が、食欲を満たすことで解消の道を求める、あるいは節度ある飲酒や喫煙から自棄的な行為へ走ることにより、病因を自ら形成してしまうことがある。
 
NCDsは自覚できるまでに時間を要する場合が多く、自覚した時にはすでに病状が相当程度進行してしまっていることもある。従って、定期的な健康診断を行い、早期発見を心掛ける必要がある。
 
もうひとつの大きな違いは、(デング熱など治療薬がない一部の疾患を除き)罹患、発症した際、抗生物質を服用すれば一定程度対処できる感染症と比べ、NCDsは治療期間が長期にわたる場合が多く、また検査や治療に係る費用は数十倍になることも稀ではない。今月岡山でG20の保健大臣会合(G20保健大臣会合推進室の公式サイトへ移動します)が開催される。先進国におけるNCDs対策のみならず、近年顕在化し始めた途上国における同様の課題と、支援方法について協議されることも間違いない。歳入が限られ、経済発展もままならない国々において、NCDs対策を推進することには少なからず無理がある。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:Universal Health Coverage)とは、すべての人々に適切な医療保健サービスが適正な価格で提供されることを目指した考え方だが、国際社会の挑戦はまだスタートラインに着いたばかりである。
 
ミャンマーで実施しているNCDs対策プロジェクトの一場面

 
一方で、NCDsの対処法は個々人による取り組み、努力が不可欠である。遺伝因子や生活環境等による影響の可能性を理解した上で、発症前、悪化前の持続的な予防行動の実践が重要である。当法人も、各活動国で栄養教育を含むNCDs対策を実施している。特にミャンマーの中央乾燥地域では、中外製薬株式会社様の協力を得て、地元保健行政と共同で、リスクを抱える人々の意識と行動の変容を促すNCDs対策プロジェクト(プロジェクトの公式サイトへ移動します。英語のみ)を実施している。しかし、言うは易し、行うは難しである。効果的な予防行動をとり続けるためには、本人の相当な覚悟と周囲の理解、サポートが必要だ。
 
私も、海外駐在時にはジムに通い汗を流した時期もあったが、帰国すると外食が増え、また運動機会から足が遠のく状態が続いている。「修行」が足りない、と言われても弁明の余地はない。ひたすら、精進する心と行動が大切である。
 
海外ではジムで汗を流す鈴木だが、日本では…?!