青少年育成を通じた住みやすいコミュニティづくり支援事業(第1期)

2017/05/31

首都テグシガルパ市は犯罪発生率が高く、犯罪の若年化も顕著であり、安心して生活できない状況は住民同士のつながりを薄くしています。同国における治安悪化の背景には、昨今の政治的混乱に加え、深刻な雇用問題、そして都市コミュニティの慢性的な貧困の問題があります。こうした環境下で育った若者は家族やコミュニティの人々からの愛情や優しさに触れる機会を奪われ、希望や自尊心を失い、周囲の人々と信頼関係を築くことができない状況に置かれています。

このような状況の中、国の未来を担っていく青少年が健全に成長し、希望を持って人生を送ることができる環境を整えることを目的とした事業を、首都のテグシガルパ市の3つの地区(ラ・ホヤ、フロール・デル・カンポ、アレマン)で実施しました。3年間の事業では、主に3つの活動: 1)中高生を対象とした非行・犯罪の悪影響、自尊心などに関する研修、2)地域の大人たちに青少年を交えたコミュニティ・グループの育成と、彼ら自身が行うコミュニティのためのコミュニティ活動、3)コミュニティ活動の実施に関わる各アクターとの関係構築・強化、を行い、次のような成果が確認できました。

同世代の青少年にピア教育を行う青少年リーダーたち
同世代の青少年にピア教育を行う青少年リーダーたち

1. 800人(当該事業で育成された青少年リーダー50人が、自分の通う学校の生徒合計600人に対して実施した活動を含む)の青少年が、価値観、自尊心、暴力、薬物、ドラッグ等に関する研修を受講し、知識を身につけました。この中の一部の青少年リーダーは、下記2. のコミュニティ・グループのメンバーとして、コミュニティ活動の計画、実施、評価にも参加しました。

2. 当該事業で育成した3地区のコミュニティ・グループメンバー合計50人が、ほぼ毎月、自主的にコミュニティ活動を実施しました。また、学校では初めてとなるクラブ活動も、自主的に計画、実施しました。

コミュニティ活動として、コミュニティ・グループメンバーの青少年と大人が地域の公立保育園で園児と交流した
コミュニティ活動として、コミュニティ・グループメンバーの青少年と大人が地域の公立保育園で園児と交流した

3. コミュニティ・グループと関係機関(市役所、保健所、地域警察、NGOなど)との関係が構築され、コミュニティ活動を実施する際には、コミュニティ・グループが直接関係機関に連絡・申請をして必要な人的・物的支援を得ました。

4. 上記コミュニティ・グループの活動が地域住民に浸透し、活動への住民及び青少年の参加が増えています。

事業を通じて、以前はあまりコミュニケーションがなかった若者と壮年以上の人々が言葉を交わすようになり、コミュニティにいることが以前より心地良くなったという声も聞かれました。「住みやすいコミュニティ」の実現を目指し、青少年を含む3つの地域コミュニティは、これからも自分たちで「住みやすいコミュニティづくり」を進めていきます。

なお、この事業は外務省日本NGO連携無償資金協力事業として、また、まちづくり地球市民財団より助成を受けて実施しました。