日本国際保健医療学会学術大会で発表しました。

2015/12/09
11月22日、金沢大学で開催された「第30回日本国際保健医療学会学術大会2015」で、AMDA-MINDSから海外事業部長の田中一弘が参加し、ホンジュラスのコミュニティ薬局の活動について発表しました。大会の今年のテーマは、「世界の健康と医薬品課題の解決に向けて」。私は、そのプログラムの中の一つとして、ミニシンポジウム「途上国コミュニティでの必須医薬品へのアクセス・利用とUHC実現への道」で、当団体が実施しているホンジュラスでのコミュニティ薬局について発表しました。
 
コミュニティ薬局というのは、ホンジュラス保健省がプライマリーヘルスケア向上の一環として推進しているもので、規定の研修を受けた保健ボランティアが薬局を運営するという制度です。薬局では20種類程の限られた医薬品のみを扱います。当団体は、エル・パライソ県の地方の村々でこの制度に則って、薬局の設置・運営支援を行い、その数は現在70を超え、年間2万人以上が利用しています。
 
今回、このミニシンポジウムで発表させていただくことになったのは、昨年度、外務省のNGO研究会という制度で作成された「NGOのためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ ハンドブック」がきっかけとなっています。国際保健の分野では、ここ最近、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」という言葉を聞かない日はありません。ただ、どう理解すれば良いか分からないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時には、是非、ハンドブックを参照してみてください。私もこのハンドブックでコミュニティ薬局の事例紹介をさせていただきましたが、そのプロセスを通じて、UHCの理解が深まりました。(ハンドブックはこちらからダウンロードできます。外務省のHPより)
 
ミニシンポジウムでは、フィリピンやネパールの草の根の保険制度や保健医療サービスへのアクセスについての事例紹介があり、「アクセス」をどう考えるのか、実際に途上国のコミュニティではどういうアプローチがあり得るのか、会場のみなさんとともに活発に議論することができました。
 
このミニシンポジウムを通じて、私たちの活動を広い視点から見つめることができました。行政の保健医療サービスや保険制度がどうしても行き届かないところがあります。そして、大抵の場合、それは声を上げられない人たちです。そこに目を向け、その人たちとともに、サービスや制度を「行き届く」ようにしていく、あるいは「行き届く」サービス・制度をつくり出していく。それをできるのがNGOなのではないかと改めて感じました。
 
ミニシンポジウムでご一緒させていただいた皆様、来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました。

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発表の様子

活発な質疑応答がされました
活発な質疑応答がされました

コミュニティ薬局とボランティア
コミュニティ薬局とボランティア

対象地域の様子
対象地域の様子