インドネシア酪農プロジェクトの3期目が始まりました

2015/03/13
契約署名式にて谷﨑大使(右)と梶田統括(左)
契約署名式にて谷﨑大使(右)と梶田統括(左)

2015年2月27日、平成26年度日本NGO連携無償資金協力事業「南スラウェシ州シンジャイ県における酪農技術向上支援事業(フェーズ3)」の事業資金贈与契約を、在インドネシア日本国大使館との間で締結しました。

本プロジェクトでは、インドネシア東部に位置する南スラウェシ州シンジャイ県において、酪農関係者(県畜産局職員、酪農協同組合スタッフ、人工授精師、酪農家)の知識・技術向上を通じ、酪農家の生計が向上すること、地域の酪農産業が振興することを最終的な目標としています。

地元で頑張る人工授精師たち
地元で頑張る人工授精師たち

近年、発展目覚ましいインドネシアですが、国家経済の8割を占める西部と東部地域の開発格差是正が政府の重要課題の1つとされています。プロジェクトを実施しているシンジャイ県は、インドネシアの東部スラウェシ島に位置し、全世帯の15%が未だ貧困ライン(1日1.25米ドル)以下で暮らしている貧しい地域です。シンジャイ県には、標高800m~1,000mの比較的冷涼な気候の地域もあることから、零細農民の収入向上政策の一環として、地元行政の主導により2006年に酪農産業が導入されましたが、酪農関係者の経験・人材不足もあり、期待した成果が挙がっていませんでした。

婦人部の女性たちも負けじと堆肥作りや牛乳の栄養について学んでます
婦人部の女性たちも負けじと堆肥作りや牛乳の栄養について学んでます

同地でプロジェクトを開始してから早2年。プロジェクトで実施した様々な研修を通じ、地元の人工授精師や酪農家は腕に磨きをかけてきました。妊娠牛も増えつつあり、今後、酪農家の(生乳販売)収入が徐々に増えていくことが期待されています。最終年度となる3期目の活動では、人工授精師の技術・知識の中でも特に未熟な「分娩前後の繁殖管理」に重点を置いた研修を開催したり、牛糞堆肥作製と販売を推進する他、これまで2年間の経験を集約した「乳牛飼育法ハンドブック」を畜産局とともに作成する予定です。

この度の贈与契約署名式では、谷﨑泰明特命全権大使より、「最終年度となる3期目の事業で、十分な成果が挙がるよう期待しています。」との激励を頂戴しました(プレス・リリースはこちらから。在インドネシア日本国大使館のサイトに移動します)。また当日の様子は地元紙FAJAR(2015年3月3日付け)でも報道されました。

なお本プロジェクトは、島根県太田市に拠点を置く「(特活)三瓶スラウェシ友好促進センター」(理事長、廣本隼人)との連携により実施しています。同センターは、1996年に任意団体として設立後、2000年島根県よりNPO法人格を取得されました。日本でも有数の開拓酪農の歴史がある島根県大田市三瓶町に拠点を置き、豊富な酪農技術指導経験を有しています。インドネシア南スラウェシ州において酪農業分野で技術指導を行う他、現地から畜産・農業研修生を多数受け入れていらっしゃいます。