国際協力の新たな活動様式~JICA海外協力隊員とともに~ 海外事業運営本部 田中一弘

2020/10/26

この度のコロナ禍で、新たな生活様式が求められるようになっていますが、国際協力の活動も例外ではありません。私たちが事業を実施している国でも、移動制限や集団での研修の禁止などが課されることにより、新たな活動様式の模索が必要になっています。例えば、事業地のスタッフとzoomなどのツールを駆使してコミュニケーションを保ち、オンラインでもできることを組み合わせながら、何とか活動を前に進めようと頑張っています。
 
私自身、毎年、数カ国に出張していたのですが、今年はゼロです。もちろん、これは、NGOだけでなく、国際協力に携わる機関、企業、団体、個人すべてが影響を受けています。JICA海外協力隊の方々も全員が帰国を余儀なくされました。しかしそんな中、日本からできることを必死で模索し、実行に移されている方もいます。
 
AMDA-MINDSは、中米ホンジュラスの首都テグシガルパの貧困地区において、青少年育成を通じた住みやすいコミュニティづくりを推進する事業に取り組んできました。現在は、青少年を含むコミュニティグループが企画する運動会などの活動を側面支援しています。
 

運動会に参加した子どもたちと記念撮影(中央奥筆者、2017年撮影)

 
体育の協力隊員としてホンジュラスに派遣されていた岸佑太さんが、この活動に関心を持たれ、当団体駐在員の陰山亮子が運動会の取り組みを紹介する機会がありました。岸さんはその数カ月の後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に帰国されました。
 
現地のコミュニティグループと連携して、日本から何かできないか。岸さんと話を重ねる中で、日本語教育をオンラインでしてはどうかというアイデアが生まれました。
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ここからは、岸さんより直接お話をいただきたいと思います。
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JICA海外協力隊 2019年度1次隊で、2019年7月からホンジュラスで体育教師として活動しています、岸佑太です。よろしくお願いします。
 
ホンジュラスでは、西部のレンピーラ県グラシアス市で、県教育事務所に所属し、小学校2校を中心に巡回を行い、幼稚園生・小学生を対象に体育指導や先生たちの授業観察・アドバイス等を行い、また、運動会や体力テスト、体育に関する研修会などのイベントの企画・運営を行っています。
 
小学校での体育指導の様子(2019年撮影、写真提供:岸佑太さん)

 
着任して8ヵ月ほどが経ち、活動も少しずつ軌道に乗り始めていた矢先、3月11日にホンジュラスでも新型コロナウイルスの感染者が出ました。そこからは目まぐるしく状況が変わり、翌12日には大統領による全国の教育機関(幼小中高)の2週間の一時閉鎖が決定。私も当初持ってきていた3つのキャリーケースのうち、1つのみを持ち出し、20日には首都のテグシガルパへ避難しなければならない状況となりました。あまりにも急な出来事であったため、現地の人々に挨拶もできず、そのまま28日に、ホンジュラス→メキシコ→日本という形で一時帰国しました。
 
帰国から早半年が経ち、現在も日本に一時帰国中です。しかし、現在も隊員として活動をしています。日本にいながらも、隊員としての活動は続いているので、何かできることはないかと模索しました。そこで今の時代は、SNSやインターネットの普及により、家からでも世界と繋がることが出来るのではないかと考えました。
 
オンライン日本語教室の様子(写真提供:岸佑太さん)

 
現在は、ホンジュラスの現地の教員とzoomミーティングを続けています。また新たに9月から同じくホンジュラスでも活動されているAMDA-MINDSさんとのコラボでホンジュラスの青少年に対して、日本文化紹介や日本語教室の機会を作ることができました。この活動は、大変有り難いことにホンジュラスの複数のメディアに取り上げていただけました。さらに、実際に日本の小中学校や大学を訪問し、出前講座(ホンジュラスの生活や文化、JICA海外協力隊のボランティアとしての活動を紹介)を行っています。
 
神奈川県横浜市での出前講座の様子(写真提供:岸佑太さん)

 
本来であれば、2021年7月まではホンジュラスでの活動の予定ではありましたが、コロナウイルスの影響で一時帰国しているからこそ、このような活動が出来たのではないかと考えています。
 
先の見えない時代ではありますが、今いる場所で今だからこそできることはあります。そのチャンスをいかに掴んでいくかが大切なことだと感じました。また、先ほども述べましたが、今の時代はインターネットも普及していますので、それを活用することで活動の幅が広がることを学びました。
 
今はまだ、ホンジュラスに戻ることはできません。しかし、落ち込んでいても時間は過ぎていくだけです。今、自分が彼らのために何を出来るのかをよく考え、小さなことから出来ることをコツコツと今後も行っていきたいです。
 
必ずホンジュラスに戻れる時が来るでしょう。戻った時の活動校の求めるニーズに合わせて、できることを彼らと再び協働していきたいと思います。あの子どもたちのキラキラした笑顔を再び見られることを楽しみに、日本で頑張ります。
 
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岸さんが書いてくださったとおり、こうして現地で活動できない状況になった今だからこそ、国際協力を行う方法を振り返り、新たな可能性を模索できるのだと思います。JICA海外協力隊の方々の活動とわたしたちNGOが活動する国や地域は重なることも多く、お互いに協力できる部分もたくさんあります。それぞれの得意分野を活かしつつ、協力隊とNGOが連携していくことで、日本からの国際協力にさらに貢献していけるのではないかと思っています。
 
 
 

田中一弘(たなかかずひろ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター

大学3年のゼミで、国連職員から難民支援について話を聞き「国際協力を仕事にすること」を決意。国際開発学修士を取得後、2000年にアムダ海外事業本部(AMDA-MINDSの前身)入職。アンゴラでの国内避難民支援など、アフリカ、中南米、アジアの様々な国・地域でのプロジェクトに従事。趣味はトレイルランニング、天体観測、サッカー観戦。岡山のお気に入りスポットは、冬の早朝の操山。きりっと澄んだ空気とオレンジ色の朝焼けが最高。兵庫県出身。

 
 
 


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