MINDS登山部 5,360メートルへの道のり ②出発。ルクラからナムチェ・バザールへ

2014/07/09
みなさん、ナマステ(こんにちは)。
ヒマラヤを目指して、身体づくりやギアの準備、旅の手配などを着々と進めてきた第1話でしたが、今回は、カトマンズ(1,373m)を出発して翌2日目にナムチェ・バザール(3,440m)に到着するまでを追想します。さて、満を持して迎えた10月16日、前日に約束したタクシーのお兄ちゃんが時間通りに迎えに来てくれるか、とはらはらしながら、朝4時半に家を出ました。お、来ている。素晴らしい。まだ真っ暗な中を空港へと向かいます。日中は渋滞で40分かかる道のりも15分足らずで到着。飛行機の時間は6時15分ですが、空港は6時まで開かないとのこと。なんだ、はりきりすぎたかなあ・・・と、ひとりドアの前で待っていると、あっという間にトレッカーたちの長蛇の列ができました。

実は、エベレスト方面トレッキングの玄関口となるルクラ行きのフライトは、早朝が勝負。遅くなると霧が出て飛ばなくなる上に、チケットを持っていてもチェックインの順番次第でフライト順を振り替えられたりすることもあるとか。したり顔で、真っ先にチェックインを済ませたものの、私が飛行機に乗ったのは結局8時半。「長蛇の列」の団体客が優先され、女子ひとりトレッカーはあえなく後回しにされたのでした。

とにもかくにも、少なくとも飛行機(17人乗りのプロペラ機)には乗れました。フライトは約40分。どんどん迫ってくる山々に気持ちが高揚します。ところで、ルクラ空港は「世界で最も危険な空港1位」と言われているそうで、460mしかない滑走路が山の急斜面に位置しています。着陸の時は傾斜を使ってスピードを落とし、離陸の時はそれで勢いをつけるとのことですが、周辺には墜落した飛行機の残骸が残っていたりして、ずいぶん怖い思いをしました。

無事にルクラ空港につくと、これからのトレッキングを一緒に過ごすシェルパ氏(ポーター兼ガイドさん)が待っていてくれました。お茶を一杯飲んですぐに出発です。この日の目的地は、「モンジョ(2,835m)」。ルクラ(2,840m)より低い標高で一泊するのは、高度順応をスムーズにするため、だそうです。

さて、勇んで出発したものの、初日はなだらかな道を鼻歌まじりで歩く程度で、「ヒマラヤ」を実感したのは2日目からでした。モンジョからナムチェの間は、橋げたの隙間からはるか下方に濁流がのぞく「恐怖のつり橋」と、急勾配のアップダウンが続きます。急な坂をやっとのぼって高度をかせいだと思ったら、下らなければならないあのがっかり感。それでも、その同じ道を、140kgの荷物を背負って、しかもサンダル履きで歩く荷揚げの若者を見ると、重装備の自分が弱音を吐いてはいけないような気になったものでした。

でも、がっかりばかりではありません。モンジョからは、出発後初めて雪をかぶった山「タムセルク(6,623m)」を見ることができ、ナムチェの手前では、エベレスト(8,848m)、ヌプツェ(7,861m)、ローツェ(8,516m)の三峰が初めて顔を見せました。

実際に「ヒマラヤ」を望むことができると、疲れも息苦しさも感じることがなく、ただ「もっと見たい。もっと近づきたい」と思い、足が前に進んでいきました。そうして、朝7時半にモンジョを出発してから4時間半、エベレスト街道最大の交易地であるナムチェ・バザールに到着したのでした。

「③富士山より高い場所」に続く。

鼻歌まじりの初日。石に刻まれているのはチベット仏教のマントラ
鼻歌まじりの初日。石に刻まれているのはチベット仏教のマントラ
つり橋は動物が優先です
つり橋は動物が優先です
荷揚げの若者。ルクラ以降は人か動物にしか頼ることができません
荷揚げの若者。ルクラ以降は人か動物にしか頼ることができません
モンジョから望むタムセルク
モンジョから望むタムセルク

道中に初めて見えたエベレスト
道中に初めて見えたエベレスト