Case#4


 
私の国際協力の原点は、大学時代に出会った二つの笑顔にあります。高校生の頃から漠然と国際的な舞台で働くことに憧れを持っていた私は、大学一年の時にタイのスタディツアーに参加し、そこで一つ目の笑顔に出会いました。
 
初めての開発途上国、そして様々な背景や価値観を持った人たちとの出会いは刺激的でしたが、中でも現地で触れあった子どもたちの屈託のない、目を輝かせた、はち切れんばかりの笑顔は本当に衝撃的でした。日本では素直に笑える子どもが少なくなってきている印象があった中、「どうすればこんな風に笑うことができるのか」と驚くと共に、「この笑顔がいつまでも続きますように」と思ったことを、今でもはっきりと覚えています。
 
タイから戻った後、国際協力に興味を持った私は、友達と勉強会をしたり、ボランティア活動に参加したりしました。偶然、当時住んでいた場所の近くにインドシナ難民が多かったことから、子どもの学習支援を行ったり、通っていた大学の近くにある国連高等難民弁務官事務所で事務のお手伝いをしていました。その様な中、縁あって、大学三年の時に、ユーゴスラビアから独立を遂げたばかりのクロアチアにある難民キャンプでボランティアをする機会に恵まれ、二つ目の笑顔に出会いました。
 

クロアチアの難民キャンプにて(筆者前列中央)

 
難民チャンプの子どもたちは内戦でトラウマを負い、先の見えない生活を強いられていましたが、その様な逆境下でも、笑顔で前を向き、懸命に生きていこうとしていました。タイで見た笑顔とは対照的で健気な姿に心打たれると共に、ボランティアに行った私たちが逆に勇気づけられたことをよく覚えています。
 
その後、大学を卒業し、民間企業に入って経験を積んだ後、国際協力の舞台 に戻ってきました。それから今年で19年経ちますが、大学時代に出会ったこの二つの笑顔は、私が迷った時に立ち返り、「何のためにこの仕事をしているのか」を思い起こさせてくれる拠り所として、いつも私の心の中にあります。
 
海外事業運営本部 大谷聡