» 「私は、あなたのことを気にかけています」と言えることの大切さ ~障害者週間に寄せて~ 海外事業部 白幡利雄

【2017年12月05日】

日本では、毎年12月3日から9日までが障害者週間と定められています。もともとは1975年の国連総会で、「障害者の権利宣言」と呼ばれる決議が12月9日に採択されたことを記念し、日本ではこの日を障害者の日としていたのですが、その後、同じ国連で「障害者に関する世界行動計画」が1982年に採択された日である12月3日を国際障害者デーとすることが宣言されました。そこで今は、この2つの記念日で挟まれた1週間を障害者週間とし、様々な行事が毎年行われています(※1)。

バングラデシュの地元NGOが手作りした車椅子。こうしたものの存在を知ってもらうのも、大切な活動の一つ

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ネパールの農村でインタビューする筆者。一人ひとりと向き合いながら活動できるのはNGOの醍醐味。

ネパールの農村でインタビューする筆者。一人ひとりと向き合いながら活動できるのはNGOの醍醐味

とはいえ、これは当事者やその関係者でない限り、日常生活の中で障害者の存在をあまり意識することがない、という現実の裏返しでもあると言えるのではないでしょうか。かくいう私も高校生までは、障害者とかかわりをもった経験が正直、ありませんでした。

最初の出会いは18歳、大学1年生になった年の6月でした。同級生の女性に誘われるがままに手話サークルの部室を訪ねた際、そこに聴覚障害をもつ男性がいたのです。挨拶をしようと思った瞬間に手話で話しかけられ、頭の中に「?」がいくつも点灯したのを、今でも強烈に覚えています。実は私、それまで海外はもちろん、国内で方言の強い地域へ旅したこともなく、言葉が通じないという経験をしたことがなかったのです。その場で入会を決めた私は、その後どっぷりと手話の世界に浸っていくことになりました。日本語以外の言葉を覚え、コミュニケーションをとることの面白さに惹かれたのがきっかけでしたが、障害をもつ人々が生きていく上でぶつかる、さまざまな差別や問題を知るにつけ、そうした課題をどう解決するかという方面へ、のめり込んでいくことになります。が、ここからの話は長くなるので、また別の機会にします。

今回お話ししたいのは、障害者の存在を意識することの難しさと大切さについて、です。私は学生を終えた後、民間の立場で国際協力に携わるNGOを、仕事の場として選びました。保健衛生や教育、収入向上、ストリートチルドレン、障害者支援、地域防災など、多様な活動に取り組んできましたが、どんな時も忘れないようにしているのは、障害をもつ人を含め、その存在があまり表に出てこないような人々への配慮です。

昔、バングラデシュの全く別の地域で、ほぼ同じ規模の活動をしている2つの地元NGO(仮にA、Bと呼びます)に、「あなたの活動している地域に、障害者は何人いますか?」という質問をし、調べてもらったことがあります。結果、Aは29人、Bからは590人という回答を得たのですが、この違いを生んだ背景には、Bがもともと障害者支援に取り組んでいたということがあったのです。つまり、障害者の存在を意識しているかどうかという違いから、これほどの差が生じるのだということが分かります。障害者の定義は本当に多様です。例えば、日本では人口の6%とされていますが、国連では15%という数字になっていますし(※2)、そもそも各人の状態は、年齢も含めて変化するものです。

バングラデシュの現地NGO(B)が行っていた、家庭訪問による基礎的な理学療法指導の様子

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ミャンマーの村の小学校。親の意識が変わるだけで、障害をもつ子どもが通学できるようになることもあります

ミャンマーの小学校。親の意識が変わるだけで障害をもつ子どもが通学できるようになることも

こうした定義や数字によって大きく課題をとらえ、社会全体として改善していくのが重要なことは、言うまでもありませんが、私たちNGOが大切にすべきなのは、目の前にいる一人ひとりの置かれている状況、特に社会的、経済的に取り残されがちな人々に、どれだけ配慮できるかということだと信じています。私がいま担当しているミャンマー事業でも、障害者支援に特化した活動ではないものの、常に意識して取り組んでいます。つい先日も、現地スタッフから個別の相談が駐在員を通じてあり、別の専門団体を紹介することができました。

「私は、あなたのことを気にかけています」と、一人ひとりに対して言えることは、NGO活動の醍醐味でもあります。その難しさと大切さを、障害者週間のいま、改めてかみしめつつ・・・。

※1:内閣府「平成29年度障害者週間」
※2:国際連合広報センター「障害を持つ人々に関するファクトシート」