「国際家族デー」に寄せて/海外事業部 大谷聡

2016/05/31
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笑顔でインタビューに答えてくれました

IMG_3112s皆さん、国際家族デーってご存じですか?これは毎年5月15日に、各国が家族問題に対する認識を高め、家族関連の問題に取り組む能力を高めるために国連が定めた国際デーです。今年の5月15日、私は南部アフリカに位置するザンビアに出張中でした。

アフリカでは家族の絆が非常に強く、ここザンビアも例外ではありません。以前、ザンビア人がどのような時に一番幸せを感じているのか興味を持ったことがあり、様々なバックグラウンドを持つザンビア人に聞いてみたことがあるのですが、全体(34人)のほぼ半数が「家族の幸せ」や「家族と過ごす時間」に最も幸せを感じていると答えてくれました。国民の6割以上が一日200円以下で生活している貧しい国ですので、「お腹いっぱい食べることができる」、「自分の望む生活が出来る」といった答えが返ってきても不思議ではなかったのですが、そういった回答は全体の2割程度に過ぎませんでした。

また、ザンビアにおける「家族」の定義は、日本のような「核家族」ではなく、親族一同も含めた「拡大家族」を指し、遠戚の者や血縁関係を超えた者を養うことも珍しくはありません。昔、コミュニティの診療所でほぼ毎日無償の奉仕活動を行い、看護師と共にコミュニティの多くの命を救っていたボランティアがいたのですが、彼女の一ヶ月の収入は約1,200円(一日あたり僅か40円ほど!)しかありませんでした。どのように日々の生活を送っているのか不思議に思い、彼女にインタビューをしたことがあるのですが、食事や日用品など日々の生活に必要なものは彼女の子ども達や親戚、彼女が所属する教会などが支援していました。まさに「困った時はお互いさま」の相互扶助の精神がそこには息づいていました。

このようにザンビアの人々は、「日々の生活が苦しくても『家族』を通じて心の豊かさを手に入れている」ということが分かると思います。

子育ては地域ぐるみで行い、子供はいつも笑顔で元気いっぱい。子どもも家族の一員としての役割があり、お年寄りは家庭内で尊敬され、尊厳を保ったまま最期の時を迎えることができる。昔日本にあった「家族の姿」が今でもザンビアでは息づいているのではないかと感じました。