村にお医者さんがやってきた!/ネパール事務所 小林麻衣子

2016/04/07
小児科の診察の様子
小児科の診察の様子
受付に並ぶ人々
受付に並ぶ人々
協力隊員の西田さん(中央左)、福岡さん(中央右)と、ヘルスキャンプに協力してくれた生徒会メンバー及び先生
協力隊員の西田さん(中央左)、福岡さん(中央右)と、ヘルスキャンプに協力してくれた生徒会メンバー及び先生

2016年1月~2月にかけて、カブレ郡の3つの行政村(カルパチョウク村、シパリ・チラウネ村、ワルティン村)で「ヘルスキャンプ」を実施しました。ヘルスキャンプとは、医療施設へのアクセスが困難な地域に、医師が直接訪れて診察を行うアウトリーチサービス(遠隔地への出張サービス)のひとつです。丘陵山岳地が多いネパールでは、病気になっても病院に行くことさえ困難なことも多く、このような活動を通じて人々の健康を支えることが期待されています。

今回のヘルスキャンプは、立正佼成会一食平和基金(シパリ・チラウネ村、ワルティン村)ならびに日本NGO連携無償資金協力(カルパチョウク村)のご支援を頂戴し、カブレ郡ドゥリケル病院の技術協力のもとで実施しました。そして、ドゥリケル病院からは、ここに配属されている青年海外協力隊の西田喜美代(コミュニティ開発)さん福岡海(助産師)さんにも参加頂き、ヘルスキャンプ会場での健康教育を実施してもらいました。

私自身は、2月25日に実施したシパリ・チラウネ村のキャンプに参加しました。この村は、幹線道路から遠く離れた山の中にあり、たどり着くには川の流れをさかのぼっていかなければなりません。乾期である今は水量が少ないためなんとか車両が通れますが、雨期には車で行くことさえできなくなる僻地の村です。当日は、小児科、内科、耳鼻科、眼科のそれぞれについて、専門医師による診察が行われました。会場は村の中にある小・中学校で、生徒会のメンバーたちも運営ボランティアとしてがんばってくれました。

最終的にその日のキャンプでは、延べ300人の患者さんに診察を行いました。ヘルスキャンプを訪れていた女性たちに話を聞くと、歩いて4時間かけてやってきた(それでも同じ村の中です)、というおばあちゃん(「年齢は?」と聞くと、「70歳くらいかなあ~?」と言っていました)もいました。そのおばあちゃんは、これまで体調が悪くなると、まず祈祷師のところにおまじないを受けに行って、それでもだめなら村公立の診療所に行って薬をもらっていたそうで、医師の診察を受けたことは一度もないそうです。その日は眼科を受診されており、診察結果は結膜炎でした。

他方、協力隊員の2人も、彼女たち自身が作成した啓発ポスターを手に、子どもから大人までたくさんの人に健康教育を実施してくれました。普段の活動でも健康教育を担当している彼女たちは、子どもたちやお母さんに優しく話しかける一方、「高血圧」などの専門用語を難しいネパール語で巧みに使って、聞いている人たちを虜にしておりとても頼もしく感じました。このように、現地に溶け込んで生活している協力隊員の方たちに協力してもらうことで、事業スタッフにもよい刺激になりますし、活動の効果が増すと思います。縁あって同じ事業地にいる彼女たちと、これからもいろんな形で連携していければと思っています。